2015年02月16日
「ハマスゲ」 その1
漢字にすると「浜菅」。海岸でよく見られる植物と紹介されている本をよく目にしますが、実際には内陸の草むらや道端でもよく見られます。先日上司とツーリングに行った熊野古道の途中の山奥にある熊野大社の境内でも力強く生えていました。
ハマスゲはカヤツリグサ科の多年草。熱帯から温帯にかけて分布し、世界中で最も多くの国と地域で問題となっていることから世界の10大雑草にもあげられている代表的な耕地雑草です。特に亜熱帯、熱帯地域では主要作物、プランテーションに被害を与えているそうです。果樹園、畑、芝地、荒地、海岸の砂地、道路など土壌条件に対する適応範囲が広く、日当たりの良いところであればどこにでも生育可能で、日本では特に関東以西の暖地で被害が大きいとされています。
地域により異なりますが4~5月頃に芽を出し、夏から秋にかけて種子をつける雑草です。種子をつける雑草ですが、地下での繁殖能力が非常に高いのが特徴です。地上からそう深くない場所に地下茎を形成し、その地下茎に硬い塊茎をつくり、これによって繁殖します。凄まじい繁殖力と生命力により、砂浜のような、植物にとっては過酷な環境でも生き抜くことができるため、あたり一面ハマスゲの草原となった場合の対策は困難です。
この雑草の対策として、茎葉処理剤(除草剤)を使えない場合は、地下茎で連なっている塊茎を、ふるいをかけてひとつ残らず取り除くことです。取り除いた残渣をその場に放置せず、確実に処分することが重要です。
参考文献: 地下で拡がる多年生雑草たち 伊藤操子・森田亜貴 共著