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2016年05月21日

カラスノエンドウ

お知らせ , 雑草知識

学術的には「ヤハズエンドウ」と呼ばれていますが、カラスノエンドウという名は教科書に使われていたこともあって、現在でも正式名称のように使われています。ここでは、聞き慣れた名前であるカラスノエンドウで説明します。

 

カラスノエンドウ

 

本州から四国・九州・沖縄の路傍や堤防などのいたるところにごく普通に生育している植物です。秋に発芽し、春になると高さ60~150cmに達します。茎には巻きひげがあり、近くのものに絡みつくこともあります。花期は3~6月で、エンドウに似た小型の紅紫色の花を付けます。はびこると始末に負えなくなることもありますが、その赤紫色の小さな花は意外と可愛らしいです。果実は熟すると黒くなって晴天の日に裂け、種子を激しく弾き飛ばします。

 

花期の3~6月は、ほかの雑草では考えられないほど、飛び抜けて多くの小動物が観察されます。その理由は、茎から葉が生える基部に“花外蜜腺”という特別な器官をもつため、その蜜を求めて小動物が集まってきます。

 

カラスノエンドウのようにマメ科植物の根には、こぶのような根粒がついています。この中には根粒菌という細菌がいて、宿主のマメ科植物から栄養をもらって生きています。一方、根粒菌は、植物がつくれない物質をつくることができ、その物質をマメ科植物にも与えています。カラスノエンドウも小さいうちから多くのこぶがあり、その土壌が微生物の宝庫だということがわかります。

 

欧米では牧草として栽培され、有用植物として価値があるものとされていますが、カラスノエンドウの種子は大型(粒径約3mm)で、収穫物に混入すると選別が困難なことから、日本では麦畑の問題雑草と見られています。

 

太陽光発電施設では、カラスノエンドウによる直接的な問題発生は薄いと思いますが、小動物が集まってくる特徴から、虫害や獣害の引き金になってしまうこともあります。

 

カラスノエンドウの防除には除草剤が効果的です。非選択性除草剤のグリホサート剤、ジクワット・パラコート剤、グルホシネート剤で防除が可能です。また、これらの除草剤に対する除草剤耐性を持つ変異は見つかっていません。

 
参考文献
・シンジェンタジャパン http://www.syngenta.co.jp/cp/columns/view/?column_id=94
・実験監察館 http://www2.tokai.or.jp/seed/seed/mijika10.htm
・岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 植物生態研究室 http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/leguminosae/