お知らせ

2015年03月16日

「アメリカネナシカズラ」

お知らせ

太陽光発電施設に直接的に影響する植物ではありませんが、奇妙な雑草を福井県内の国道沿いで見つけたので取り上げてみました。一見すると、ラーメンの食べ残しをぶちまけたような、美容室がカットした金髪を不法投棄したような、怪しい広がり方をする植物。近くで見れば見るほど奇妙な植物です。今回掲載の写真は2014年7月に撮影したものですが、植物体としては3月から活動を開始します。

「ネナシカズラ」…その名のとおり、根がありません。しかも、葉もありません。この植物は葉緑素を持たないので光合成をしないのです。では、どのように成長するのか…恐ろしいことに、他の植物に寄生するのです。ネナシカズラは植物に執拗に絡みつくと、自分の組織の一部(寄生根)を、寄生した植物の表面組織に突き刺し、直接維管束につなげることで養分や水分を得ているらしいです。自分の根から水分を吸収し、自分の葉っぱで光合成をして養分を蓄えるよりもはるかに効率よく養分を得る能力を身につけているのです。

鳥などの小動物によって実を食べられると、種子は溶かされることなく胃の中に残り、排泄物と一緒に種子が地面に落ちるそうです。種子は地中・地表で発芽し、初めは根がありますが、寄生する植物を見つけると、名前のとおり根が枯れ寄生した植物から養分を吸収するようになるそうです。この雑草に寄生された植物は養分を吸われ続けると衰弱し、ひどい状態になると枯れてしまうそうです。この「アメリカネナシカズラ」は環境省の要注意外来生物リストに指定されています。

太陽光発電施設に直接的に影響することはありません。むしろ逆!背の高くなるススキやツルを伸ばすクズなどの強壮雑草も衰弱させるということは、太陽光発電施設にとって有益な雑草なのかもしれません(それは無いか)。しかし、周囲に田畑がある場合は要注意です。野菜や草花に寄生し、成熟した種子が落ちることにより年々被害が拡大します。
駆除方法は、残念ながら寄生された植物もろとも焼き払うしか手がありません。植物体の一部が取り残されるとそこからまた増え始め、ちぎっても、ちぎっても、どんどんツルを伸ばして、広がっていくのです。