ヒメムカシヨモギ
除草剤なんて怖くない!
そう言ってそうなくらい驚異の繁殖能力と戦略を併せ持つ植物、それがヒメムカシヨモギです。
草丈は100~200cmのため、太陽光発電施設としては、草丈が問題になる植物の一つです。除草剤耐性を持つ雑草の1つのため、安易に考えてはいけません。除草剤で雑草対策をしている現場は、そのまま使い続けることで、手に負えないくらいになってしまうことも・・・
ヒメムカシヨモギの原産地は北アメリカ。日本には明治時代(1867年頃)に作物種子などに混入したとされています。明治維新のころから鉄道線路に沿って広がったため、ゴイッシングサ(御一新草)、メイジソウ(明治草)、テツドウグサ(鉄道草)などとも呼ばれていました。
その後、短期間で風雨や人間の移動により日本全国に拡がりました。現在では北海道から沖縄まで全国で見られる雑草です。畑地、休耕地、樹園地、牧草地、路傍、荒地、河川敷など、どこでも生息しています。
人間にとって厄介なのは、その生態系にあります。
この植物、“一年生雑草”と言われていますが、実際は“一年性であり越年性”でもあります。春に芽吹いたものは夏に大きな株に育ち、一株で莫大な数の花を咲かせ綿毛を飛ばして繁栄します。一株のタネの数は100万個と恐ろしい数です。普通の一年生雑草は通常、春に発芽し年内に枯れてしまいますが、このヒメムカシヨモギは、休眠が浅いため結実落下後に短い時間で発芽することが可能なのです。そのため、夏にまかれたタネが秋に発芽、年を越し、わずか10cmたらずな小さな株が秋に開花。そして冬にもタネを飛ばすこともあります。
土壌中の種子の寿命は比較的長い傾向にあり、土中で112年生存例があるほどです。また、草刈などで土を掘り起したときに、土中で眠っていたタネを目覚めさせることも考えられます。
夏期には衛生害虫の繁殖地となり、冬期には枯れ草になって美観を損ねるとともに、火災の原因となるため、抜き取りや、刈り取り除草だけでなく、防草シート等を利用した雑草対策が必要です。
■参考文献
国立環境研究所 侵入生物データブック ヒメムカシヨモギ http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80510.html
シンジェンタジャパン ヒメムカシヨモギ http://www.syngenta.co.jp/golf/weeds/weeds13.html
農研機構 畜産草地研究所 ヒメムカシヨモギ http://www.naro.affrc.go.jp/nilgs/weedlist/w0100/w0110/029393.html
環境省自然環境局 外来生物法 要注意外来生物リスト https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/detail_sho.html#45