2014年10月13日
「クズ」
クズと聞くと何を想像しますか?「葛餅」や「葛切」が思い浮かぶ人もいれば、厄介な雑草として認識している人も多いと思います。
クズはマメ科の多年生半木本性植物で、日本古来より全国に分布している野草です。秋の七草のひとつでもあります。日本人に身近な野草として万葉集にも読まれ、根は食材や薬として、茎葉は家畜の飼料として、さらにツルの繊維から衣類などに様々な形で人々の日常生活に大変重宝された植物でした。しかし、葛粉の精製は大変手間がかかる作業のため、現在ではほとんど活用されなくなってしまいました。
クズが問題となる理由は、その生態的な特徴にあります。
クズの特徴は、なんといっても、ツルを伸ばし、どこにでも絡みつき、大きな葉で絡みついた全体を覆ってしまうことです。成長のピークは7月で、8月には生育がいったん停止します。そして9月に入ると活発に成長を再開します。クズに絡みつかれた植物は大木であっても光合成ができずに枯れてしまう場合があります。さらに朽ちた空き家は倒壊の恐れがあり危険です。
駆除すればいいじゃないか・・・残念ながら、そう簡単に駆除できる植物ではありません。取り除いても、取り除いても、計り知れない生命力で、すぐにツルが再生します。節から出る根の一部は地中深くまで達し、デンプンを蓄えた塊のような根に成長することが強靭な生命力の理由です。地下に養分を蓄えた太い根が生きている限り、果てしなくツルを伸ばします。
クズを完全に駆除するためには、親株を見つけ出し、直接強力な農薬を刺し込むことが最有力だと言われています。しかし、それは大変根気のいる作業です。
国の研究機関でもクズの防除に対する研究が進められているようです。