お知らせ

2016年08月02日

アレチウリ

お知らせ , 雑草知識

こんなところにカボチャが?と一瞬見間違うほど似ている葉を持つアレチウリ。

北米原産のウリ科のツル性植物で、ツルの長さは5~8mにもなります。8~9月頃にクリーム色に薄いスジが入った花を付けますが果実はかわいくありません。トゲだらけの果実が塊となって結実する恐ろしい植物です。

 

1952年に静岡県で発見されてから、30年で関東圏が一大繁殖地となりました。現在は北海道まで到達。名前のとおり、荒地や河川で多く見られるが、巻きひげで他のものに絡みつき、よじ登り、縦横無尽にツルを伸ばします。一株にできるタネの数は5,000~78,000にもおよび、発芽率も70%を超えるとされています。その恐ろしい繁殖能力から、在来植生を破壊するため、法律で特定外来生物に指定されています。

 

雑草学会でも、大きく取り上げられるほど問題となっているのが、耕作地への侵入です。農業生産分野において、甚大な被害をもたらしています。

 

生長は4月から10月ぐらいまで長期にわたり、除草剤による防除が行われた後に出芽したものも問題となります。生育スピードが速く、9月以降に出芽したものは植物体が小さくても開花・結実します。1㎡あたりのアレチウリの本数が少なくても、1株のサイズが大きいため甚大な減収をもたらします。飼料用トウモロコシ畑では1㎡あたり1.5~2本程度で80%の減収、2.8~5本で90-98%の減収となるそうです。大豆畑では壊滅的な被害をもたらし収穫不能となるケースもあります。大変手間のかかる作業ですが、耕作地への侵入初期に手取り除草で徹底防除することが重要とのことです。

 

河川敷に隣接する太陽光発電施設は要注意
大きな川の河川敷にまん延している場合が多くそこから侵入してくるので特に注意が必要です。

 

※特定外来生物に指定されているため、生きたまま植物体を他の場所に運ぶことは規制されています。特に、手取り除草を行う際は植物体を生きたまま移動させることがないよう注意してください。近隣に耕作地がある場合は、被害を拡げる恐れがあるため特に注意しましょう。

 
参考文献:
・誰かに話したくなる雑草のふしぎ 森昭彦 著 P134
・独立行政法人農研機構 中央農業総合研究センター https://www.naro.affrc.go.jp/